メリークリスマス

サンタさんのケーキ

僕のうちは、天台宗のお寺で、妙高山千手院という由緒ただしいお寺だった。

山形県長井市今泉にお寺があって、そこに生まれた。祖父が住職をやっていたが、もともと檀家のない寺なので、郵便局に勤めたり、農協で仕事をしたりしていた。

父は、学校の先生で、まだ、修行が足りず、僧侶にはなれなかった。たぶん、僧侶をする気は無かったのであろう。

ケーキ全体

祖父が昭和38年に亡くなり、当時、小松小学校の教頭をしていた父は、その年のクリスマスに錦屋のクリスマスケーキを買ってきた。

住職をしていた祖父の健在なときは、さすがに、クリスマスケーキは無かったが、その後は、必ず、クリスマスにはケーキを食べるのが、習慣になった。

まあ、お寺でもケーキくらいはいいだろうと今も思っているのだが、父は、さらに、「きよしこの夜」をみんなで歌おうというのだ。

そして、率先して、「きよしこの夜」を歌って、ケーキを食べた。

田舎のクリスマスにケーキを食べることも珍しい時代に、「きよしこの夜」を歌ったりするから、あっという間に、近所の噂になってしまった。

それでも、父は、クリスマスケーキと「きよしこの夜」を欠かさず、行ってきた。

いわゆる、我が家の伝統である。お寺さんで、ケーキを囲んで「きよしこの夜」をみんなで歌う。

その父ももう、とっく亡くなり、久々に子供たちが集まってクリスマスケーキを囲んだが、「きよしこの夜」を歌おうと言っても、だれも一緒に歌ってくれなかった。

お寺で、クリスマスケーキを食べていた、わが家の伝統は、既に伝統ではなく、どこの家庭でも行うようになってしまった。

当時の父は、実は先進的な考え方だったのだろう。

クリスマスの夜にふと、父のことを思い出した。「きよしこの夜」を今も、父は歌っているに違いない。

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