ヴァイオリン

昔、ヴァイオリンを習っていた。

昭和39年5月という日付が入った『鈴木のバイオリン教本』の第一巻がでてきた。なんと10歳のころ。もう55年も前の話だ。ちょっとびっくりした。ずいぶん昔の話だなあってうのと、なんと、その教本が、300円だったこと。そして、ついていたのはソノシート。薄いレコード盤のようなもの。これに練習用のサンプル音が入っていたんだろう。もしかたら、ピアノ伴奏が入っていたかもしれない。

高校時代からサッカーに明け暮れ、大学ではテニス、社会人になってからは、ゴルフと動くことは大好きなのだが、今は、たまに行くお付き合いのゴルフと庭の草むしりが趣味のようなもんだ。多分、もう少し経つと体んもどんどん動かなくなって、何もすることがなくなるなあ。なんて、思っているころだから、ヴァイオリンをやってみようかと思ってしまった。ヴァイオリンも家にあったはずとケースを開けてみたら、弓の毛は切れてしまっており、バイオリンも裏板が剥がれており、とても使える状態ではない。始めたのは55年前、たぶん5年くらいやっていたような記憶があるから、最後に使ったのは50年前か...確かに、保存が大事な楽器だから、無理だなあ。

やってみようと思うと、その後は、相変わらずのスピードで、まず、できるかどうかもわからないのだから、ネットだ。yahooのオークションだ。と、中古のヴァイオリンを手にいれた。(写真)

中古と言っても、こだわりものだから、どんな楽器がいいかとか、評価はどうかとか、ネットでの調査も抜かりない。ピグマリウスDERIUS #90 2006年製 というヴァイオリンだ。ピグマリウスというメーカーが評判がいいという話がネットに出ていて、どうしてもピグマリウスを弾いてみたいと思ったのだ。

というこで、ネットオークションで、音も聞かずに我が家にやってきたヴァイオリン。ピアノでチューニングして、最初にG線の弾いてみた感覚。(なぜ、G線だったのかわからない。普通はA線だよね。)だけど、「あれ、バイオリンの音ってこういう音だっけ?」いい音なのか、悪い音なのかもわからない。ヴァイオリンの音の感覚をもう、忘れているのだ。ただ、思ったことが一つ。「この音、好きだ。」ヴァイオリンの音ってどんなんだっけ?と忘れてしまった僕なのに、1つの絃を弾いただけで、このヴァイオリンが気にいってしまったのだ。ヴァイオリンの音を忘れているのに、なぜ、気にいったか、わからない。この音が好きだと思ったのだ。

今は、ヴァイオリンの音の記憶すらないため、色々な演奏家のヴァイオリンの音色を聞きながら、最初にすることは、なんと50年前の音の記憶を取り戻すことという先の長い話なのだ。

G線を弾いた瞬間に一目ぼれしたヴァイオリンは、あご当てやペグなども新しいものに変えて、デビューです。ちょっとおしゃれになってなあとますます気にいっているのです。

このヴァイオリンが素敵な音色を出すのは、いつの日になることか。先の長い話です。

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