情けは人の為ならず


おじいちゃんがかぶったという山高帽

3月10日は、祖父、今泉円成(いまいずみ えんじょう)和尚の命日である。
3月10日は、山形県では県立高校の受験の日でもあり、朝からラジオでは、応援ソングなどが流れている。

さて、今泉円成和尚は、天台宗 妙高山 千手院の中興三十二世として住職を務めた和尚である。

僕が、小学校3年の時に、亡くなったため、幼少期は彼の影響を多く受けてきた。

円成和尚は、若いとき、お坊さんになるのがいやで、東京に逃げたらしい。

なかなか、ハイカラなおじいちゃんで、東京から帰ってくるとき、山高帽(写真)にステッキを持って帰ってきたそうだ。

そのおじいちゃんに僕はよく似ていると父に聞いた。その父も既になくなっているのだが。

どういったところが似ているのかと父に聞いたときに、山高帽とステッキをもって帰って来たときの話をしてくれた。「ハイカラなところが、お前もそっくりだ。」

既になくなった父と祖父との話を一つ。ここからは、父から聞いた話。

父は、山形大学(当時、山形師範学校)で教員になるための勉強をしていたとき、学費のために、家庭教師をしていたそうだ。

ある子供の指導をお願いされた時、あまりにも出来の悪い子供で、とても指導したくない。それで、祖父に、なんとか上手に断る方法がないだろうかという手紙を出したところ。

はがきに一言。
「情けは人の為ならず」
という文字を、達筆な筆で書かれてあったそうだ。

それには、さすがの父も参って、家庭教師も断らずに指導することにしたそうな。

その話をしながら、父は、僕にもよく
「情けは人の為ならず」
という話をした。

何故か、我が家の家訓のように、この言葉は聞こえる。




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